硤合反応 × SCOPESOAI REACTION2026年 ノーベル化学賞
東京理科大学の 硤合 憲三先生が発見した「硤合反応」(英語では Soai reaction)。2026年のノーベル化学賞に選ばれました。受賞のきっかけは、ある「ふしぎな反応」の発見です。スマホの中のフラスコで、その反応をのぞいてみよう。
( The Molecule )
どんな分子?
硤合反応でできる「アルコール」の なかまです。オレンジの炭素に、4つのちがう部品がついているので、鏡にうつしたような2つの形(右手型と左手型)ができます。指で回してみましょう。
- 炭素
- 水素
- 酸素
- 窒素
- R環の先の部分(省略)
右手型と左手型は「鏡うつしの関係」。鏡にうつした2つで、ひと組です。分子の形と色は、実際の分子のデータをもとにしています
( Asymmetric Synthesis )
不斉合成って何?
鏡うつしの関係にある2つの形のうち、どちらか一方を多く作ることです。同じ部品からできていても、立体的な並び方が違うと、体の中などで働き方が変わることがあります。では、なぜ2つの形は重ならないのでしょう?
( 3 Rules )
なぜ鏡うつしだと
重ならない?
鏡うつしの2つの形がある
右手と左手みたいにそっくりなのに、どう回しても重ならない。
右手型と左手型は「鏡うつしの関係」同じ部品でも立体の並びが逆。回転させるだけでは、4つすべてを同時に重ねられません。
( Soai Reaction )
硤合反応はどうすすむ?
できた分子が、同じ型の分子を作るのを助けます。これが「自己触媒」です。
自分と同じ型ができるのを助ける
左右を見分けるしかけがないまま分子を作ると、右手型と左手型は同じくらいずつできる。
でも硤合反応では、できた分子が「お手本」になって自分と同じ型の分子ができるのを助ける。
右手型は右手型を、左手型は左手型をふやしていく。
くり返すとほぼ一方の型だけになる
はじめにどちらかがほんの少しだけ多いと、多いほうの型ができる反応がどんどん進み、少ないほうはあまりふえない。
だから、ほんの少しの差がくり返すたびに大きく広がっていく。
この反応を発見したのが、硤合先生。
だから「硤合反応」とよばれています。
( Experiment )
1つだけ入れてみよう。
右手型と左手型が同じ数だけ入ったフラスコ。あなたが1つ入れるとどうなる?
- 1つ入れる
- 1回目
- 2回目
- 3回目
本当の実験では、全体200万個あたり たった1個分の差から、1回目で約8割、2回目で99%以上、3回目で ほぼ全部が一方の型になりました。
あなたの操作
どちらかを1つ、入れてみよう。
- 材料を入れる
- まぜる
- 吸いとる
- うつす
モデルの補足
※ わかりやすくするため、分子の数を少なくし、反応のしくみを かんたんにしたモデルです(多いほうの型ほど できやすい、というところだけを表しています)。本当の実験では、材料(ピリミジンのアルデヒド)と部品(ジイソプロピル亜鉛)を使い、お手本は材料のおよそ100分の1です。また、反応のあとに液を処理して できた分子を取り出し、その一部を次のお手本に使います。
( Nobel Prize 2026 )
100年以上のなぞに
手がかりをくれた
反応。
- 受賞した人
- 硤合 憲三(そあい けんそう)先生
東京理科大学 栄誉教授
アンリ・カガン先生(フランス、パリ南大学)と共同受賞 - 受賞の理由
- 不斉有機合成における非線形効果および自己触媒作用の発見
- 発見した反応
- 硤合反応(1995年に発表)
- 大きな成果
- 2003年、ほんの少しのかたよりを、自己触媒で ほぼ一方の型だけにまで増やすことに成功
わたしたちの体をつくるアミノ酸は、ほとんどが左手型だけ。実験室でふつうにつくると同じくらいずつできるのに、なぜ生き物のアミノ酸は左手型にそろったのか。硤合反応は、ほんの少しの偏りが自然に大きくなりうることを、実験で示しました。
( AR ・ 会場限定 )
AR で解説を見る会場のポスターの SCOPE ロゴにスマホを向けると、分子が飛び出して解説します(約2分50秒・音が出ます)